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テレビと過去現在未来

2003年1月18日

宇佐美 保

 1月15日放映のTBSテレビnews23の多事争論「序章」において、筑紫哲也キャスター

は、次のように論じておりました。

テレビよ、お前はただの現在にすぎない」という、やや皮肉を込めた名言がありますけれども、現在だけにこだわっているのは、テレビだけに限らないということがあります。しかし実際には、現在というのは、未来にとってのプロローグ=序章でありまして、……

そして、現在と過去との関係で言えば、過去は明らかに現在の序章、プロローグでありまして、過去というのをきちんと始末をできない場合には、そのことが現在に跳ね返ってくる。これは、靖国神社問題を見れば明らかでありまして。過去をきちんと処理してこなかったために、これから北朝鮮に対して、韓国と中国と日本が一緒に向かわなければいけないという時に、その現在の足並みを乱すという結果を生みそうであります。……

 確かに、筑紫氏の論には概ね賛同できます。

しかし、「テレビよ、お前はただの現在にすぎない」の言を、たとえ皮肉を込めてと注釈しても、名言と捉えてしまうのは反対です。

だとしたら、筑紫氏たちは高給を貪りつつ毎日何の為に視聴者に語りかけているのですか?

“私達は、テレビの画面を通して、単に現在を発信しているだけです。それを未来に繋げるのは、政治か又皆様の責任です”と尻をまくるのですか?

 

 筑紫氏が例に挙げた「靖国神社問題」は政治家だけの問題ですか?

一昨年、小泉首相の参拝問題で騒然としている靖国神社へ取材に行ってその混乱に巻き込まれた草野満代氏は何故その後靖国神社を取材しないのですか?

草野氏は、筑紫氏の横に座ってニュースを読み上げるのと、筑紫氏の発言全てに頷いているだけの役割で高給を貪り続けているのですか?

草野氏が、マスコミの一員であり、あの時の靖国の異常な騒動に巻き込まれたならば、「靖国神社問題」を自分のライフワークにする位の気魂を持つべきではありませんか?

なのに、その後は、今回の小泉参拝に際しても、ニュースを棒読みしているだけ。

何故自分の意見を述べないのですか?

“私達は「テレビは、ただの現在にすぎない」を忠実に実行しているだけ”とでも言うのですか?

恥ずかしくないのでしょうか?

 

 一方、筑紫氏は、毎年、阪神淡路大震災の発生の日には、神戸をレポートしておられるようです。

その行動の裏に、阪神淡路大震災の現場で「温泉のようです」と失言した責任を感じているのかもしれませんが、それでも、行動することは立派だと思います。

 

 でも不満です。

定時のニュースの類ならいざ知らず、夜の11時にもなって、高給キャスターを配してのnews23などの番組に於いてまでも、“ニュースは生もの、獲れたての新鮮なニュースです。この素材を過去で味付けしようが、未来に味付けしようが、視聴者の皆様ご自身で御自由に御料理下さい”で良いのでしょうか?

 

 マスコミ、そして政治家達も“国民は利口です”と無責任な発言を繰り返します。

冗談ではありません。

私たち国民はバカです。簡単に騙されます。

いまの北朝鮮の人達とは、私達日本人は違うと言えますか?

多くの心ある方々は、“いまの北朝鮮に、戦前の日本を見るようだ”と語っておられます。

ナチに操られたドイツ人はどうですか?

今の日本国民には、“拉致問題の解決の為には、軍艦を北朝鮮に派遣すべき”とまで発言した石原慎太郎氏待望論が起き上がってさえいます。

 

 私たち国民はバカなんです。簡単に騙されるんです。

心あるマスコミならば、ニュースを生のままで国民に提供するだけではい不十分なのです。

少なくも、高給取りのキャスターを配した番組では、ニュースを生のままで視聴者に提供するだけでは不十分なのです。

キャスターが、現在のニュースに、過去や未来の味付けをすべきなのです。

不良債権問題にしても、その背景にある銀行の無責任経営などなど、高速道路問題、消費税問題などなど、でも、ここに至らしめた政治家の無責任ぶりを追及すべきなのです。

 

 更には、1月16日の多事争論では「壊しすぎ」と題して、次のように論じています。

……滋賀県の豊郷町の小学校の問題も起きておりますけども、どうもこの古いものをどんどん壊していくという癖が、あまりにも強すぎる国だという気が致します。そのお陰で、かつて持っていたような街の景観とか、そういものがどんどんなくなっている。……

 「豊郷小学校問題」は、単に「古いものをどんどん壊していくという癖」の問題ですか?

多くのマスコミが暗に示しているが如きの「町長とゼネコンの癒着」だけの問題ですか?

私は、田中康夫長野県知事(そして、北川正恭三重県知事)が指摘するように、この問題の背景には、「地方財政の出費比率が改築する場合が66.7%に対して、新築したが26.7%と少なくなる」と言う、地方への国からの補助金交付の不合理さが絡んでいるの事を併せて報道解説して、現在の国の財政赤字の原因である、これらの税金無駄使い制度の是正を国民に訴えるべきだと存じます。

 

 勿論、キャスターとて全知全能ではありません。

多くの苦情を浴びせられるかもしれませんが、その都度修正すべきは修正してゆけばよいのだと思います。

 

(追記)

 そして、今貰っている高給を蓄え、将来多チャンネル或いはインターネットテレビ時代に、スポンサー不要の自前のテレビ局を立ち上げるように準備すべきなのでしょう?

(雑誌に於ける「週刊金曜日」のように?)



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